近年増えている神社での神前式、お寺での仏前式の際、誓いのキスをすることはありません。結婚式での「誓いのキス」は、儀式としてすべきという人もいれば、恥ずかしいからしたくないという人もいます。後者の人の中には、そのために和婚スタイルを選択する人もいるようです。

本記事では、キスをすべきなのかしなくてもいいのか、そもそもなぜするのかなど、和婚をはじめとする挙式スタイルとキスについて解説していきます。

和婚(神前式・人前式)には誓いのキス演出はない

冒頭で述べたとおり、和婚(神前式・仏前式)に誓いのキス演出はありません。「誓いのキス」は、チャペルで行われる教会式(キリスト教式)の風習であるためです。では、和婚ではどうやって夫婦の誓いを立てるのでしょうか?

和婚では誓いの言葉として「誓詞奏上」を行う

神前式を例に説明すると、和婚では夫婦の誓いの言葉である「誓詞奏上(せいしそうじょう)」をふたりで読み上げるのが習わしです。新郎新婦が交互に杯を交わす「誓盃の儀(せいはいのぎ)」の後、神前で新郎神父が誓詞を読み、新婦が自分の名前を続いて読み上げるのです。

 

内容は以下のようになります。

 

1.結婚の報告

「私たちは今日を佳き日と選び 〇〇〔式場名〕の大前で結婚式を挙げました」

など、まず今日どこで結婚式を挙げるのかなどを読み上げます。

2.夫婦の誓い

「今後御神徳を頂きまして 相敬い相和し 夫婦の道を守り 共に・・」

「真心をもって信じ合える伴侶に出会えた喜びを・・」

など違いが出やすいのがこの誓いの部分!

出会えた縁に感謝したり、これからの二人の生活を思い浮かべたりするような文言が入れられます。

両家のご親族様の前でこのようなことを言われたら、新婦様の喜びもひとしおですよね♪

3.締めの言葉

「何卒幾久しく(いくひさしく)お守りください」

と締めて、日付・名前を読み上げます。

新郎様だけで読み上げる場合は、新婦様はご自分のお名前だけを読み上げることになります。

引用;タガヤ和婚礼(http://kimono.tagaya.co.jp/news/jinja_ceremony/detail/4935/

 

大まかな内容は、教会式と大きな違いはありません。ただ、形式には違いがあり、教会式では神父が新郎新婦に問いかける形で誓いの言葉を述べますが、神前式では、神に向かって宣言するというような形式になります。

 

このあと、教会式では誓いのキス演出があることはご存じかと思います。ですが、神前式では神前に玉串をお供えする「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」のあと、指輪交換が行われるのみです。神社によっては誓詞奏上を行わないところもあります。

そもそもなぜ誓いのキスをするのか

誓いの言葉を述べた後、指輪交換をし、花嫁のベールを取ってキスをするのが一般的な流れです。これには(参考文献が見つからなかったのであくまで一説ですが)、「誓いの言葉を封じ込める」という意味合いが含まれていると言われています。

「なぜキスをするのか」という問いの答えは、自分たちで決めてもいいかもしれません。ただ、必ずしも口づけをしなくてはならないというわけではないよいです。

頬やおでこにしてもOK

いくら誓いのキスとはいえ、人前でキスをするのが恥ずかしい方も少なくありません。ですが、必ずしも口にする必要はないようです。

 

近年では、頬やおでこにする、ひざまずいて手に口づけをする、はたまた握手やゲストに向かいお礼をするなど、新郎新婦によってさまざまなバリエーションがあります。

 

教会式でも「誓いのキスをしなくてはならない」わけではない

誓いのキスには上記のような意味合いがあるものの、しないという選択肢ももちろんあると上述しました。実際、夫婦の誓いの証を立てられさえすれば、婚礼の儀としては問題ないわけですから、キス以外の方法でも何ら問題はありません。

 

厳格な教会式であっても、「誓いのキスをするのが習わし」ではないのです。結婚式は、イメージとしては誓いのキスは必ずしなくてはならないと考えられていますが、キスはあくまで儀式の一環なので、するかどうかは新郎新婦に委ねられています。

したがって、「恥ずかしいからしたくない」のであれば、無理にするものではありません。新郎側も、新婦の意向を汲み取り、キスをしないか、和婚スタイルの挙式を選択すると良いでしょう。

さて、先ほど和婚と教会式の「誓いの言葉」儀式の違いを解説したことに関連し、続いて挙式スタイルの違いをそれぞれ説明していきます。

 

挙式スタイルによってキスの有無は違う

日本の挙式スタイルには「教会式」「人前式」「神前式」「仏前式」の4つがあります。それぞれ、順に解説していきましょう。

神前式

和婚といえば、神社で行われる神前式が一般的です。流れとしては、

 

  1. 新郎新婦、参列者が一列に神殿へ入場する
  2. 新郎新婦、参列者が清めを受ける
  3. 新郎新婦が三三九度の杯を飲み交わす
  4. 新郎新婦による誓詞奏上
  5. 玉串を捧げ、指輪を交換
  6. 新郎新婦、参列者が全員で御神酒を飲む
  7. 斎主挨拶ののち、退出

 

が大まかなものとなります。教会式と違い、杯を飲み交わす儀式があるのが特徴的です。特に、和婚でしか着ることのない「白無垢」「色打掛」は、神前式で特に良く映えます。また、神社にもよりますが基本は親族のみというケースが多く、一部の大きな神殿では友人などゲストの参列が認められています。ここも教会式との大きな違いですね。誓いのキス演出も、基本的にはありませんし、調べたところ神前式で誓いのキス演出をしたというカップルは居ないようです。

仏前式

神前式よりややマイナーという印象のある仏前式ですが、やることは神前式とあまり変わりません。流れは以下のようになります。

 

  1. 新郎新婦が入場し、住職が読経
  2. 新郎新婦による指輪(念珠)交換、誓いの言葉を述べる
  3. 結婚証明書を交付する
  4. 三三九度の杯を交わし、親族全員で御神酒を飲む
  5. まんだらの花びらを蒔き、祝福の祈りを捧げる
  6. 住職挨拶ののち、退出

お寺に馴染みがあるという方も多く、地元のゆかりのあるお寺で仏前式を挙げる方も今は少なくないようです。また、神前式とは異なり、指輪交換の儀があるのも特徴といえます。

人前式

他3つと比べやや特殊なのが人前式です。参列者全員に結婚の証人となってもらう形式で、衣装から式次第まですべて自由にプランニングできるのが最大の特徴です。

会場もレストランや美術館、神殿など、自由に選ぶことが出来るのが特徴で、和婚の婚礼の儀を取り入れた和婚スタイルも人気です。白無垢や色打掛を着てバージンロードを歩く、誓いのキスをする、といった演出を可能にするのも人前式の魅力と言えますね。

教会式(キリスト教式)

今更説明するまでもないかも知れませんが、一般的な結婚式のイメージは「教会式」でしょう。一般的には「プロテスタント式」が行われ、「カトリック式」を行うには、夫婦どちらか、あるいは両方が信者である必要があります。とはいえ、式次第に大きな違いはありません。さまざまな文化を取り入れて発展してきた日本らしく、キリスト教を信仰していなくとも気軽に挙げることができるのがおおきな特徴です。

上記の4つの式のうち、キス演出を取り入れることができるのが「人前式」「キリスト教式」のふたつです。

「和婚でも誓いのキスをしたい」人は、和装人前式がおすすめ

冒頭で「和婚ではキスをしない」ことをお伝えしました。逆に「和装でキスがしたい」という方には、和装人前式という選択肢があります。

近年では、人前式スタイルを選ぶ人も少なくありません。人気の理由として挙げられるのが自由度の高さで、和装を着つつもヘアスタイルを洋風にまとめる、バージンロードや誓いのキス演出を盛り込むなど、教会式のスタイルを取り入れることができるのが特徴です。

「白無垢」や「引き振袖」「色打掛」を着てキスをしたい方は、和装人前式で「誓いの言葉・キス」の演出を盛り込んではいかがでしょうか。

まとめ:和婚ではしないのが一般的。教会式でもキスをしなくてはならない訳ではない

まとめると、「誓いのキス」の慣習があるのは「教会式」に限られ、一般的に和婚では婚礼の儀としてのキスは行いません。教会式でも、基本的には「したければどうぞ」というスタイルなので、二人の意向をすりあわせて決めると良いでしょう。

ただ、近年では「和装人前式」スタイルも増えてきており、白無垢や色打掛を着てバージンロードを歩き、誓いのキスを交わすカップルもいます。和婚でキスをしたいという方は、自由な形式で臨める人前式を選ぶとよいでしょう。

このように「誓いのキス」は、教会式ならしなくてはならないというわけでも、和婚ではしてはいけないわけでもありません。挙式は思い出に残る幸せなものにするのが最優先ですから、互いの意向をくみ取って決めていくのがベストです。

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